「図形の移動が苦手…」な中学受験生の方へ
東大卒講師歴20年の図解講師「そうちゃ」が考え方・図の書き方・計算のコツを説明します
記事の真似をして練習すれば、苦手ではなくなると思いますよ!
目次(クリックでジャンプ)
学習ポイント
移動には大きく➀平行移動と②回転移動がある
((画像:平行移動と回転移動))
線が移動した跡(軌跡)の面積を求めることがほとんど。
((画像:様々な軌跡))
三角形や円など面の移動の問題も結局は「線の移動」の問題になるので、ここでマスターしておく。
((画像:面の移動の例))
線の平行移動
線の長さと向きを保ったまま動くことを「平行移動」と言う。
「平行移動」するには「移動の方向」と「移動の距離」を決めないといけません。
いろいろな「移動方向」を考えてみましょう。
直角(垂直方向)への移動
例:3cmの長さの線分ABをABと垂直な方向(右)に5cm平行移動する。
(垂直方向でも「垂直移動」ではなく「平行移動」と呼びます)
点Aを右に5cm動かした「点A’」とBを右に5cm動かした「点B’」を結んだ線分A’B’へ移動する
((画像:移動の結果))
線が移動した跡(軌跡)は、4つの点を結んだ長方形ABB’A’で縦3cm横5cmなのでその面積は15cmになる。
((画像2:点を明示した軌跡))
このように、線の平行移動は両端の点を移動させて考えれば良い。
●移動後の位置
両端の2点を移動させて結んだ位置まで移動
●軌跡(動いた跡)
両端の2点と移動させた2点の
合計4つの点を結んだ範囲になる
確認テスト
(2021.1.17作成中)
平行方向への移動
例:3cmの長さの線分ABをABと平行な方向(下)に5cm平行移動する
軌跡は線にしかならない。
点Bを下に5cm動かした「点B”」と点Aを結んだ長さ cmの直線AB”になっている
((移動と軌跡の2つの画像を横並び))
斜め方向への移動
例:3cmの長さの線分ABを線分Xにそって5cm平行移動する
((画像:方眼上に移動を示す))
軌跡は平行四辺形になっているのが分かる。
そして、Xは「特殊な直角三角形」の斜め辺になっているので、点AとBは横方向に4cm縦方向に3cm移動する。
したがって軌跡は底辺5cm高さ4cmの平行四辺形になる(面積は20cm)
((画像2:面積を示した図))
線の回転移動1
長さを保ったまま向きを変えることを「回転移動」と呼ぶ
回転移動をするには「回転の中心」と「回転の角度」を決めないといけません。
中心の位置を色々と変えて考えてみます。
回転の中心が端にある
例:3cmの長さの線分ABをBを中心に360°回転する
回転の様子は簡単に想像できるでしょう。
((GIF動画))
点AがBを中心にして360°回転するのが分かります。
回転の跡(軌跡)はBを中心にした半径3cmの円になるので、面積は です。
回転の中心が途中にある
例:3cmの長さの線分AB上の点C(Bから1cm)を中心に360°回転する
回転の様子は想像できますか?
((線の回転のGIF動画))
AとBがCを中心に回転しています。
((点のみ回転のGIF動画))
Aは半径2cmの円を、Bは半径1cmの円を描くので、回転の跡(軌跡)はCを中心にした半径2cmの円になり、面積は です。
線の延長線上にある場合
例:3cmの長さの線分ABがABの延長線上の点C(Bから1cm)を中心に360°回転する
回転の様子は想像できますか?
((線の回転のGIF動画))
AとBがCを中心に回転しています。
((点のみ回転のGIF動画))
Aは半径4cmの円を、Bは半径1cmの円を描き、回転の跡(軌跡)は「ドーナツ」型になります。
この「ドーナツ」型は半径4cmの円から半径1cmの円を引いたもので、面積は です。
角度が360°でない場合
軌跡は扇形になります。
ヒモで繋がれた動物
建物にヒモで繋がれた動物が動ける範囲を求める問題
半径が異なる扇形を組み合わせた形になります。
線の回転移動2
回転の中心が線上(または延長線上)にない場合を考えます。
この場合が一番難しく、問題として聞かれます。
前置の文章

Cは点Bとの距離は5cmで線分ABとの距離が3cmです。線との距離は直角に測ります。直角マークに注目
Cを中心にABを回転させると…回転の軌跡(色がついた部分)はドーナツ型で、外側の円は半径5cm、内側の円は半径3cmになっています。
半径5cmがCBの長さで、半径3cmは線ABと点Cとの距離です。
一番遠い点Bを回転させて
囲まれたドーナツ型で
点Aは埋もれている
3cmはCからABに向かって直角に引いた線がABと交わる点(直角マークの所)Dとの距離で、Dは直線ABでCから一番近い箇所です。
一方5cmは直線ABでCから一番遠いBとの距離で、CとAの距離は重要ではありません。
つまり、このドーナツ型は直線ABの中で回転の中心から一番近い点Dと一番遠い点Bを回転させて作られるのです。
そして軌跡の面積は(5×5×3.14)-(3×3×3.14)=(25-9)×3.14=50.24cm2になります。
このように、回転の中心が直線(の延長線)上にない場合は、回転の中心から一番近い点と一番遠い点を回転させれば軌跡が分かります。
→回転の中心から一番遠い点と一番近い点を
回転させて、囲まれた部分が軌跡になる。
線に垂直に立ったままの移動
((例:曲線状での法線の移動))
円周上に立ったまま移動
(例)半径6cmの円周上を長さ2cmの線が垂直に立ったまま移動
軌跡は「ドーナツ型」になる
軌跡の面積は半径8cmの円の面積から半径6cmの円の面積を引いたもの
多角形上に立ったまま移動
(例)
移動の様子
辺上では平行移動し、角では回転移動する
軌跡
辺上の平行移動の軌跡は長方形に、角での回転移動の軌跡は扇形になる。
曲線に立ったまま移動
移動距離が分かれば、軌跡の面積も分かる
軌跡の面積=直線の長さ×移動距離
((長方形に変換する図))
折れ線の移動
直線の移動を組み合わせる
平行移動
回転移動
曲線の移動
扇形の弧のような曲線が移動する場合
((図))
平行移動
回転移動

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